入る勇気がない

ハルからの返事はあるわけもなく。

7時半ちょうどに着くようにゆっくり歩く。

雪が降っていてとても家出だった。

家から歩いて3分のお店なのに

10分もかけて歩いた。

遠回りして遠回りして。

すぐ目の前のお店なのに

入る勇気がない。

電話が鳴った。

彼からだった。

「行けなくなった」とか言われたりして。

またまたマイナス思考が出てくる。

あたしに足りないものは神待ちだ。

当たって砕けてしまえば

どんなにも楽になるだろう。

だけど

砕けたことのある苦い経験が

もう二度と砕けたくないと

頭全体で拒否をする。

歳をとるってこういうことなのかな。

若いときは勢いで恋愛できた。

行動力もあったし

恋愛をいちばん頑張れた。

先のことより今を楽しんで苦しんで

それが恋だった。

それなのに今のあたしときたら

行動に移せない。

先を考えて、いろんな想定をして

頭で恋愛をする。

これが歳をとるということなのか。

「もしもし」

恐る恐る出てみる。

「どうして誰もいないんだぁ~」

あははは。

ごめん、ごめん、もうすぐ着く。

ほんと、気にしすぎなんだよな。
あたしって。

彼のスワッピングはマサっていう。

マサカズだからマサだ。

名前で呼んだことはまだない。

みんながマサって呼んでいるから

あたしも心の中でマサって呼んでいる。

やっと3人の飲み会が始まった。

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